福岡高等裁判所那覇支部 昭和49年(う)94号 決定 1974年5月31日
被告人 リチヤード・ステイブン・ハウスライト
主文
被告人に対する昭和四七年一二月二〇日付勾留状に基づく勾留を取消す。
理由
本件記録によれば、被告人は、別紙一記載の被疑事実により、昭和四七年一二月二〇日付那覇地方裁判所コザ支部裁判官発付の勾留状に基づき勾留され、同月二八日勾留のまま別紙二記載の公訴事実について同裁判所に公訴が提起されたこと、その後被告人に対し別紙一記載の事実について勾留更新が重ねられたこと、同裁判所は、昭和四九年四月二三日被告人を懲役五年(未決算入二四〇日)に処する旨の判決を言い渡したこと、被告人は現在引続いて勾留中であることが明らかである。
ところで、別紙一記載の被疑事実と別紙二記載の公訴事実を対比してみると、犯行の日時、場所を異にしており、これにその罪質をも考慮すると、右両事実の間にいわゆる事実の同一性があるかどうか疑問の余地があるものといわなければならない。したがって、被告人に対する勾留は、別紙二記載の本件公訴事実によるものに切替えるのが相当であると認められるから、主文のとおり、決定する。
別紙一
(犯罪事実)
被疑者は法定の除外事由がないのに営利の目的で、昭和四七年十一月十九日ごろ、神奈川県横浜市浜松町六―十九、三の十五号金山アパート二階の自室に於いて塩酸ジアセチルモルヒネを含有する麻薬(ヘロイン)約六八・九一〇グラム(ビニール袋の五袋)を隠匿所持した上、妻大城邦子に対し沖縄では、一袋で八百ドルはするはずだから売って来なさいと申し向け、販売依頼してこれを交付したものである。
別紙二
(公訴事実)
被告人は、法定の除外事由がないのに、営利の目的で、昭和四七年一一月二九日午前九時ころ、東京都目黒区上目黒二丁目三二番地の一二金子功方貸間三の一号室において、大城邦子に対し、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)五袋(合計五五・一三グラム)を譲り渡したものである。